【2023年1・2月特集】寄付月間ってなんだろう?

【2023年1月特集】寄付月間ってなんだろう?

「毎年12月は寄付月間」ってご存知ですか?

「寄付」と聞いて身近に感じる方もいれば、普段あまり使わない・耳にしない言葉だなと感じる方もいらっしゃると思います。2022年度の日本の寄付指数*は119カ国中118位とのことなので、後者に感じる方のほうが多いのではないでしょうか。

  • イギリスのチャリティー団体などの調査による人助け・寄付・ボランティアの指数

「寄付」というと募金活動をしている団体へお金を支援するイメージが強いと思います。しかし、「寄付月間@日本大通実行委員会」として活動されているGranvi専門家会員の丸山伊津紀さん(認定NPO法人地球学校 理事長)にインタビューしたところ、それだけではない興味深いお話を伺うことができました。

今回の特集では、丸山さんの活動をとおして「寄付月間」と「活動することで得られる何か」についてご紹介します。

目次

寄付月間ってなんですか?

寄付月間(Giving December)とは、「欲しい未来へ、寄付を贈ろう。」を合言葉に毎年12月の1ケ月間、全国規模で行われる啓発キャンペーン。民間非営利組織、企業、大学、行政、国際機関などが推進委員会を設置し、2015年12月に第一回寄付月間が始まる。

寄付月間 note https://note.com/givingdecember/n/n18cbe020b180

さらにその趣旨としては下記のとおりです。

寄付月間とは、12月1日から31日の1か月間を通して、寄付に係る関係者が幅広く集い、寄付が人々の幸せを生み出す社会をつくるきっかけを提供することを活動の趣旨とします。

寄付月間 note https://note.com/givingdecember/n/n18cbe020b180

寄付月間に参加するには、「賛同パートナーになる」「リードパートナーになる」「賛同企画を実施する」「寄付月間に関するイベントやキャンペーンに参加する」「寄付月間や寄付についてSNSでシェアする、つぶやく」「寄付について、家族や知り合いと話をする」「寄付してみる」といった種類の活動があります。

ライターまり子

寄付というと「寄付を募っている機関にお金を寄付する」イメージでしたが、活動の幅が広いんですね。

では、丸山さんが中心メンバーとなって活動されている寄付月間@日本大通実行委員会はどのような活動をされているのでしょうか?

寄付月間@日本大通実行委員会とは?

寄付月間@日本大通実行委員会

「日本大通」は神奈川県横浜市にある通りの名称です。日本初の西洋式街路とされており、歴史的にも意味のあるストリートです。私たちの活動拠点となるKosha33ライフデザインラボは、日本大通に面している神奈川県住宅供給公社ビルの1階にあり、最寄り駅はJR・地下鉄「関内」駅、東急東横線「日本大通り」駅になります。すぐそばには横浜スタジアムがあり、海側に歩けば神奈川県庁、海に出れば国際客船ターミナルである横浜大さん橋、そこからはランドマークタワーや赤レンガ倉庫が見える、そんな横浜らしい立地にあります。

そんな日本大通で、私たちは2018年から実行委員会形式で寄付月間の公式認定企画を始めました。12月は寄付月間!を合言葉に、毎年夏休みが終わると動き出し、10月から始動し、12月に企画を実行し、1月に振り返り報告書を作成して解散する。そんな一年を重ねてきました。

寄付月間@日本大通実行委員会 https://kifu-kosha33.jimdofree.com/

寄付月間@日本大通実行委員会は、このように参加メンバーを特定するのではなく、都度募って活動されているそうです。

2022年度の実行委員は、下記の4名です。

  • 橋爪智子さん(NPO法人日本補助犬情報センター 専務理事兼事務局長)
  • 船本由佳さん(Kosha33ライフデザインラボ 所長)
  • 丸山伊津紀さん(認定NPO法人地球学校 理事長)
  • 三坂慶子さん(NPO法人Sharing Caring Culture 代表)

さらに実行委員会は、企画参加団体・個人やサポーターなどを加えた形で成り立っています。

昨年までは拠点であるKosha33でイベントを開催していましたが、今年はKosha33のビルが改修工事で使用できないため、工夫して開催されています。また、賛同企画の実施期間は12月に限らず、翌年2月まで引き続き寄付月間企画イベントとして開催されているそうです。

寄付月間@日本大通実行委員会 2022年度の活動事例
  • ソナYELLラボ・寄付月間日本大通りとコラボ配信
    ソーイング防災士SUMIさんによる気軽な防災相談拠点「そなYELLラボ」と寄付月間日本大通り実行委員会メンバーによるコラボ配信(現在も配信アーカイブを閲覧可能)。
  • クリスマスマルシェをお届けします
    来年創設150年を迎える元町の宮崎生花店でのKosha33ライフデザインラボメンバーによるイベント。美しくみずみずしい花々に囲まれた『クリスマスマルシェ』を開催。

その他「ゲーム漢字王決定戦~オンラインでKANJI-KING」「ウニランプをつくろう」など、11の企画参加団体・個人による17の賛同企画(企画進行中など含む)が行われています。

このように自主的に集まり、集まったメンバーで今年はどうするかを決め、実施されている寄付月間@日本大通実行委員会。そもそもいったいどのようにして発足したのでしょうか?

発足のきっかけは偶然の再会

丸山伊津紀さん

寄付月間の活動のきっかけは、私が理事長を務める認定NPO法人地球学校の寄付金を増やしたいという思いからでした。地球学校の運営は、主に日本語教室の事業で得られる自己資金と地球っ子教室の事業への助成金で、寄付金が少ないことが課題だったのです。

寄付月間のことは2016年に知り、自団体のみでイベント開催など試行錯誤しつつ活動していましたが、限界を感じていました。

とおっしゃる丸山さん。

そんなとき、2018年に子どもたちの日本語学習をサポートする地球っ子教室に以前通われていた生徒さんと再会し、現在の実行委員会の拠点であるKosha33ライフデザインラボを紹介されたそうです。ライフデザインラボの所長である船本さんと意気投合し、その年に日本大通実行委員会がスタートしました。さらに翌年2019年には、船本さんを通じて、現在の実行員メンバーである橋爪さんや三坂さんに出会いました。

丸山伊津紀さん

同じNPO法人で活動されている橋爪さんや三坂さんとは寄付金等のファンドレイジングにおける課題に共通点がありましたし、船本さんが所長を務めるライフデザインラボは「つながりづくりの実験室」として活動されていて、寄付月間の活動にも「実験ですね」と笑顔で賛同してくれたから今があります。

それぞれの団体に関わっている人や団体は多く、メンバーを固定して活動していくのではなく、そのときどきでできる人ができることを…と今の実行委員会の形になったそうです。

ライターまり子

やりたいと思っていることを言葉にして周りに伝える・発信するというのは実現において大切ですね。

寄付はお金だけじゃない。寄付アクションって?

寄付月間日本大通実行委員会の活動の記録
寄付月間日本大通実行委員会の活動の記録(出典:https://kifu-kosha33.jimdofree.com/)

この図のように、寄付月間@日本大通実行委員会は2022年度の活動で5年目を迎えます。実は寄付月間のアンバサダーでもある丸山さん。アンバサダーとして、日本大通実行委員として、どのような活動をされていらっしゃるのでしょうか。

丸山伊津紀さん

寄付月間について広めたい、知ってほしいと思って活動しています。
具体的には12月になったら「寄付月間って知ってる?」と声掛けするようにしています。知らないようであれば「12月は寄付月間という言葉だけでも覚えておいてもらえるとうれしいな」と言ったり。

また、寄付月間は企業、NPO、大学、行政、個人などさまざまな立場の団体や人それぞれの得意を生かし、つながって形にしていくものでもあります。例えば、同じく日本大通実行委員であり、アンバサダーでもある橋爪さんが神奈川県からの依頼でテレビ神奈川の番組「カナフルTV」に出演しました。

寄付も寄付月間の活動も、無理せず「できるときに、できることを、できる人がやる」が大切だと思ってます。

カナフルTVのアーカイブ

そして、丸山さんは、活動を続けている中で視野の広がりも感じているそうです。

丸山伊津紀さん

最初は寄付というと寄付“金”のイメージで「お金」を意識していました。でも、寄付の中には物だったり、ヘアドネーションだったり、お金以外の寄付もあります。また、寄付を意識したイベントに参加することも寄付になるんだな、と。

このような視野の広がりをとおして「目に見えない価値ってなんだろう」ということも考えるようになりました。今、私に取って寄付とは…。一言では言い表せませんが、「目に見えないけれど循環していく“いいもの”」だと思います。

丸山さんの言葉を聞いて、ふと、インタビューしている私の頭に「ペイフォワード(Pay it Forward)」という言葉が浮かび、丸山さんに投げかけると「そうですね!」とおっしゃっていただきました。

さらに丸山さんが寄付月間の活動を行なって感じたことを伺うと…。

丸山伊津紀さん

自団体の寄付金を増やすことを考えて始めたことだけれど、正直なところ、今はそこはあまり考えていないんです。なぜかというと、いい出会いに恵まれ、人とのつながりの大切さを感じているからです。

例えば、地球学校では、子どもたちのサポートをしてくださる方や日本語のレッスンをしてくださる方など、プロの方々がスキルと時間を提供=「寄付アクション」してくださっています。「寄付アクション」という言葉を使うようになり、お金は一つの手段に過ぎないんだな…と思いました。

このような気づきから、地球学校の総会では寄付金の報告だけではなく、「皆さんから提供していただいた時間は◯時間でした」ということも報告しています。「皆さんのスキルと提供していただいた時間をお金に換算するとこれくらいになる」と数値化できるようになったのは、寄付月間の活動をとおして得たことです。

収支報告というと通常お金の報告ですが、このように表現していただくと、寄付金だけでなく、スキルや時間の提供も自分が応援したい団体に役立っていると改めて感じられる素敵な報告ですね。さらに丸山さんは「理事長として、思いを持ってやってくれているスタッフの“こうしたい”も大切にしたいし、応援したいんです」とおっしゃっています。

実は、寄付金を増やすことを特別に意識しなくなっても、徐々に寄付金が増えているとのこと。それは、このような気づきや変化から、地球学校の「目に見えないけれど循環していく“いいもの”」が見えるようになってきているというのもあるのではないでしょうか。

毎年、新たな学びがあるとおっしゃる丸山さん。日本大通実行委員の方々とはどんなふうに話されているのでしょうか。

丸山伊津紀さん

共通して出てくるのは「この出会いがあってよかったよね」という言葉です。何かあったら相談できる仲間ができ、孤独感を感じることが減ったと思います。

2022年度の実行委員の皆さんは全員、それぞれの組織における「◯◯長」とつく立場の方々です。何らかのトップに立つ人は、組織において孤独感を感じることが多いのでしょう。組織のしがらみなく、同じような「◯◯長」という立場で意見を聞ける仲間というのは、丸山さんがおっしゃるようにまさに「いい出会い」ですね。活動を続けていく中で、ちょっとした相談ごとや情報交換も気軽にできる存在となったそうです。

寄付月間をとおして伝えたいこと

最後に寄付月間をとおして伝えたいことを伺いました。

丸山伊津紀さん

何でも初めてのときはあります。始めたばかりのときは、見えなかったり小さかったりするものが、続けていると見えるもの、得るものがたくさんあったり、いろんなことに気づけたりします。

そんなきっかけに寄付月間がなればいいなと思います。
ぜひ「12月は寄付月間」と周りに声掛けしてみてください。
意図しなくても、きっと何かが変わります!

寄付月間は12月ですが、2022年度の日本大通実行委員会の寄付月間は2023年2月まで続きます。
どんな活動をされているか、ぜひ、ご覧ください。

寄付でつなぐ未来へのバトン2022

開催期間:2022年12月1日~2023年2月28日
主催:寄付月間2022@日本大通実行委員会

【1月以降のイベント予定】

  • 5周年企画【対談】所長と神奈川県アンバサダー
  • チャリティヨガクラス
  • お花に囲まれてペット供養ができる墓所を作りたい!

など

丸山さんが理事長を務める認定NPO法人地球学校では、寄付金の支援だけでなく、ボランティアやプロボノによる支援も募集されています。スキルの活かし方の一つとして、ぜひご検討ください。

また、丸山さんは神奈川県の寄付の専門相談員としても活動されていて、「寄付を集めたいけれど困っている」というNPOのご相談にも応じてらっしゃるそうです。ご相談の際は、地球学校ホームページのお問合せフォームからお問い合わせください。

ライターまり子

最初、寄付月間の活動を伺ったとき「12月は寄付月間という言葉だけでも覚えてほしい」とおっしゃった丸山さんの言葉を意外に感じました。もっともっと伝えたいこと、知ってほしいことがあるんじゃないかと思ったんですね。

ですが、その後「無理せずできることをやる」と続いたときに、小さくコツコツと進めることが継続の秘訣なんだな、と思いました。

そして、継続することで見えてくること、気づくことがあり、それを取り入れていくことでいい出会いや結果につながる…そうして良い循環が生まれるんですね。

伺っていて、寄付月間の活動だけでなく、仕事やプライベートにも言えることだと感じました。

この特集が「寄付月間」を知るきっかけとなり、さらに思いを持って活動する上での何らかのヒントとなることを願っています。

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この記事を書いた人

半沢 まり子のアバター 半沢 まり子 子育て中の女性の在宅起業を成功させるWebサポーター

IT企業で約10年勤務していたが妊娠時のトラブルにより専業主婦となる。キャリアが途絶え、今後の働き方や夫婦のあり方を模索しつつパートを始めたときに離婚に直面。正社員での就職を考えたが、ブランクから難しさを感じ、自分に合った働き方を模索。フリーランスという働き方を選択したことで、子どもとの時間も大切にでき、シングルマザーでやっていけるようになる。
現在は、自身の経験を活かし、特別なスキルなく、未経験でもできる子育て中の女性の在宅ワークや、フリーランス・ひとり起業のWeb制作・運用管理をサポート中。

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